今更聞けない、結婚式を迎える花嫁花婿が親に望むこと
祝日の多いこの季節は、ご結婚式がとても多い時期です。私もご結婚式の打ち合わせや準備で、新郎新婦とお会いすることが多くなってきます。
ときには、ご両親にもお会いして、ご結婚式を迎える親御さんの準備や心構えについて、お話させていただくこともあります。
そのときいつも思うのは、ご両親は花嫁、花婿のお気持ちが、よくお分かりになっていないな、ということです。
親御さんのほうも、お子さんたちに「こっちでちゃんとやるからいいよ」などと言われてしまい、お子さんたちがどんな結婚式をするのか、よく知らないことが多いのです。そして、なるべく口を挟まないようにしていると、おっしゃる方が増えています。
親同士の仲をお子さんは心配している
では、ご結婚式を迎えるお子さんたちが、ご両親に対していちばん気にかけていることは、どんなことだと思いますか?
それは、相手の親御さんと仲良くなってほしい、ということなのです。
ご両家の親同士が、結婚式をきっかけに親しくなってもらって、このおめでたい挙式を楽しんでほしい。その気持ちが、いちばん強いわけです。
その気持ちは、どの新郎新婦にもあります。
でも、なかには、自分の親と相手の親は合わない、と勝手に思い込んで、なるべくお互いの両親を合わせないようにしているカップルもいます。
結婚式の前に親同士のそりが合わなくなって、お互いに相手にあまりよい感情を抱かなかったとしたら、結婚式も楽しめなくなってしまう……。それが怖くて、相手の親に自分の両親をなるべく合わせたくないという新郎新婦も、少なくありません。
むしろ、若いふたりをそっちのけで、両親同士がときどき会っていたり、電話でやりとりしたりしてくれているほうが、お子さんたちにとっては嬉しいし、ほっとするのです。
ですから、ご結婚式が決まったら、ぜひ親御さんたちも、相手のご両親と他愛あのないおつきあいを始めておかれたほうが、いいと思います。
たとえば、ご自分たちのご衣裳をどうするのか、お母様は洋装にするのか、黒留袖にするのか。そういった話をきっかけに、お相手のお母様にお電話してみるのもいいでしょう。
私がご結婚式のコーディネートを担当したお客様のなかには、ご両親揃って、こちらのM&Vに来店し、結婚式で着られるドレスを和気あいあいとご試着して、決めたお母様たちがいらっしゃいました。
「ああ、いい光景だな」と思って、拝見しておりました。
もちろん、お相手のご両親と意見が違うこともあるでしょう。でも、そこは大人のお付き合い。お子さんたちのご結婚式をステキな挙式にさせるためにも、ご両親もご一緒になって、盛り上げてほしいと思います。
子どもが選んだ相手を認めてあげる
新郎新婦がご両親に対して思っていることが、もう1つあります。
それは、自分が選んだパートナーを認めてほしいということ。
娘であれば、私の選んだ彼を認めてほしいと思っているし、息子であれば、ボクの選んだ彼女を認めてほしいと思っているのです。
あまり口には出さないと思いますが、心の中では、その気持ちが強くあり、お子さんたちにとっては、いちばん心配なところでもあります。
親御さんとしては、そこをきちんと意思表示しておいてあげることが大事。ご自分のお子さんに、「あなたの選んだ人を、私たちも認めているわよ」ということを、口に出して伝えてあげてほしいと思います。
親御さんとしては、まずは文句をつけたくなるのが親の心理というものかもしれません。「なんであんな子を……」と思うことも、実際にはあるでしょう。
でも、文句ばかりを言うのではなく、お相手の良いところも見てあげましょう。ご両親が慈しみ育てたお子さんが選んだ相手ですから、きっといいところもたくさんあるはずです。
「結婚しよう」と思えるステキな出会いがあったのですから、そこを認めてあげて、うまくいくようにサポートしてあげることが親としての仕事でもあると思います。
そして、ときには、人生の先輩として、お子さんたちに「こういうときは、こうするのがいいのよ」と、きちんと教えてあげることも必要でしょう。
お子さんのご結婚は、育った家庭から独立して世帯が別になるということ。
一人前の人間として、新しい世帯をもたれるお二人を、一社会人として認めて、支援してあげる。その気持ちを、忘れないでいただきたいと思います。
お子さんたちがご両親に望むことは?
では、新郎新婦が、ご結婚式で親御さんたちに期待していることは何でしょうか。
それは、
「僕らの結婚式、私たちの結婚式を、おかあさん、おとうさんたちも楽しんでほしい」
ということです。
これは、どの新郎新婦もよくおっしゃることです。
ご両親からすると、「そうはいっても、私たちは主催者なんだから、楽しめばいいってもんじゃないわよ」と、思っていることが多いのですが、お子さんたちはそうは思っていないようです。
とくに、30代前後で結婚するカップルは、結婚式のことでご両親にあれこれ迷惑をかけるのではなく、ご両親もゲストとして結婚式にご招待したいくらいの気持ちなんですね。親への感謝の気持ちのほうが、ずっと強いのです。
親にとっては、30になっても40になっても、子どもは子ども。親が子供を思う気持ちは永遠に変わりません。
だからこそ、子どもの晴れの門出となる結婚式には、笑顔で出席してほしいと思います。
ご両家のおとうさん、おかあさんが仲良く談笑されている姿をみたら、きっとお子さんたちは、ほっとされると思いますよ。
M&Vスタッフの編集後記 ~ J子のつぶやき♪
先日、いらしたお客様は、花嫁のお母様でした。
ドレスに合わせるシューズをお持ちになって、ドレスの丈を採寸に来られたときのことです。
そのお母様は嬉しそうに、
この間、娘とウエディングドレスを見にいってきたんですよ」
とおっしゃって、お写真を見せてくださいました。
それはそれは可愛らしいお嬢様で、レース使いが上品なAラインのウエディングドレスをお召しになっていらっしゃいました。
そしてお写真を見せてくださりながら、こうおっしゃいました。
お婿さんのお母様も、お呼びしたんですよ。あちらのおうちは男の子さんが2人で、女の子さんがいらっしゃらないので、ウエディングドレスを一緒に選ぶような機会はないかなと思って、お誘いしたんですね。そうしたらすごく喜んでくださって、「楽しかった」っておっしゃって。ドレス選びも三人で盛り上がりました。いろいろ着てみましたけど、最終的にはお相手のお母様も私も、このドレスがいいと言って、これに決まったんですよ
確かに男の子さんばかりのご家庭では、ウエディングドレス選びを一緒にされる機会は、ないかもしれないですよね。
女性の感覚からすると、ウエディングドレスを選ぶのは楽しそうだし、ちょっと一緒に行きたいなと思います。
お母様ならではの、素晴らしいお気遣いだなと思いました。
こうしたきっかけから、仲良くなることもあると思います。
ぜひ、お子さんたちのためにも、お相手のご両親とのコミュニケーションを大切になさってください。
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婚礼屋 小谷由美子(こたに ゆみこ) 石川県加賀市出身 アトリエ「カーロカーラ」代表 19歳の時に巫女さんのアルバイトから婚礼業界に。誰より愛ある結婚準備サポートをするために、オーダーメイドのウエディングサポート、ドレスサロンなど併設したブライダルサロンを活動の中心に、ウエディングコーディネーター育成、婚礼新規業態開発なども手がける婚礼のプロフェッショナルとして全国を駆けまわっている。 wecoウエディングコーディネーター/マネージングエディターとして、自由な結婚式を応援するウエディングコーディネーターを紹介するwebサイト&マガジンも発行。一般社団法人 日本の美しい花嫁をつくる会の監事として日本の婚礼啓蒙活動も行う。